尖圭コンジローマの検査

投稿日:2010年6月8日|カテゴリ:バックナンバー

●尖圭コンジローマの検査

 残念ながら尖圭コンジローマの診断には有 効な検査方法がないというのが実情です。尖圭コンジローマはヒトパピローマウィルス(HPV)が粘膜や皮膚の細胞を以上に増殖させて起こる良性腫瘍ですか ら、ほかのウィルス感染症と同じようにウィルス(または坑ウィルス抗体)を証明できれば感染の診断ができるはずです。しかし、ヒトパピローマウィルスは粘 膜細胞や皮膚基底細胞といった比較的浅い場所にあるので、体の免疫細胞に認識されにくいために、血中抗体でウィルスの存在を調べることが難しいのです。

 また、ウィルスが感染しても尖圭コンジローマを発病するのはほんの数パーセントのひとです。女性では子宮頚管部の粘膜をスポンジでこすって細胞を採取し てウィルスを調べることが可能ですが、男性では皮膚の表面をいくらこすってもウィルスを捕まえることができず、無症状のひとを検査することは、事実上不可 能です。
 

尖圭コンジローマになった時のパートナーの取り扱い

 淋病やクラミジアでは感染後約半数のひとが発病に気づきます。しかしパピローマウィルスに感染しても尖圭コンジローマを発病するのはほんの数パーセント です。性病はパートナーとの同時治療が原則ですが、尖圭コンジローマに関しては発病していないひとの治療はできませんので、パートナーをお連れいただいて も男性では肉眼で尖圭コンジローマローマの有無を確認することぐらいしかできません。女性では発病していなくてもウィルスの検査が可能ですが、健康保険が 適用されない検査で、事前準備も必要ですからすので、あらかじめ医療機関に検査が可能かどうかということと、料金がいくらぐらいかかるかということをを問 い合わせてください。。
 
 何もしないでただ怖がっていても始まりません。何も症状がなくても男性なら泌尿器科を、女性なら婦人科を受診されることをお勧めいたします。また、尖圭 コンジローマは免疫力が低下すると発病しやすいので、発病の予防には日ごろから体調管理が重要です。

 ウィルス感染が明らかになった場合は(特にハイリスクタイプの場合は)、性行為のときにできるだけコンドームを使うように心がけ、無症状でも定期的(最低でも1年おき)に検診を受けていただくようお勧めいたします。
 

尖圭コンジローマ画像
 

 

① 細かい粟粒状の腫瘍。比較的おとなしいタイプ ② 亀頭部付近にできた先端が針のように尖ったタイプ。比較的治し易い
③ 亀頭部にできた瘤状で多発するタイプ。再発しやすい。 ④ 病理組織像。特徴的な空砲化が見られる。
資料 :「総論・日常診療で男性STDを見逃さないコツ」澤村正之 治療 84(7):67−71, 2002 他
医師向け雑誌に掲載した写真と、講演会で使った写真から抜粋しました。
 尖圭コンジローマは性器にできるウ簿で、典型的には上の写真②にあるように先が尖った腫瘍とか、①のような泡状の腫瘍であることがほとんどです。ひとつ の腫瘍は爪楊枝の頭ぐらいの大きさです。①②のようなタイプは比較的おとなしく、発育はゆっくりで周囲へあまり広がりません。液体窒素や手術で簡単に取 れ、再発も少ないタイプです。③は、ゴリゴリとした瘤状の腫瘍で、周りに広がって再発しやすいタイプです。