性病に健康保険は 使えるのか
●性病に健康保険は 使えるのか |
||||
健康保険扱いができない場合
|
||||
性病の検査治療には原則的に健康保険が使えますが、いくつかの例外があります。健康保険が使えないのは主に以下のような場合です。 ①保険証原本を忘れた場合、資格や有効期限が切れている場合 保 険証のコピーは、簡単に偽造ができます。外国の保険証はICカードになっていたり、顔写真が入っていたりして簡単には偽造できない仕組みになっています が、日本の保険証はもってこられた方を信用することを建前にしているため、個人認証はほとんどできません。ですから同じ医療機関にご家族がずっと通ってい らっしゃる場合とか、顔見知りの方でない限り、初めての医療機関にコピーを持っていっても信用されなくても不思議ではありません。健康保険証はコピーではなくて必ず原本をお持ちください。 健 康保険を使うと医療費の3割程度を医療機関の窓口で自己負担していただきます。後の7割は医療機関から支払い基金という団体に請求書を提出して適正な医療 かどうかの審査の後に2ヵ月後に支払われます。この期間は医療機関が国に代わって医療費の約7割をを立て替えています。健康保険証の期限が切れていたり、 退職などによって保険資格を失っていた場合は立て替えた医療費が支払われません。ご本人に悪気はないことがほとんどですので、医療機関は大変困ってしまいます。健康保険証の資格切れには十分ご注意をお願いいたします。 ②結婚時などの健康診断 パートナーとともにまったく健康で、性病にかかる疑いもない方でも時々性病検査を希望される方がいらっしゃいます。このような場合は、入学・就職時の健康診断や人間ドックと同じ考え方ですので、健康保険は適用されません。保健所で性病検査を無料で行っている自治体もありますので、そのような行政サービスをご利用になられるといいでしょう。 ③健康保険の制約がある場合 ④妊娠やアレルギー体質などのやむをえない事情がないのに治療を拒否される場合 健康保険の理念は病気を発見して治すことにありますから、原則的に治療を受けていただくことを前提に検査を行います。もちろん必要のない治療はいたしませんが、妊娠やアレルギー体質などのやむ終えない事情がなくて必要な治療を拒否された場合には保険適応が難しくなる場合もございますのでご理解をお願いいたします。 多くの患者様はこのようなことはありませんが、かつて性風俗に勤める方が症状があると偽って定期的な検査目的で健康保険を使用されていた事実があり、以降、当院では自発的に上記のような基準を設けております。 読者の皆様には限りある少ない医療費のなかで、適正な健康保険の運用をしている全国の保険医・国保連合会・社会保険庁・等関係者各位の皆様の代弁のため、 保険制度の現状を書きました。著者は現行の制度を批判するつもりはまったくありません。著者の文筆の至らなさで、もしもお目障りな点がありましたら、深く お詫び申し上げます。 |